封仙娘娘追宝録〈9〉

昨日の午後には熱も引いてきたので、買出しに出かけました。
で、そこで運命のご対面。



既存のカテゴリに分類するのが、ちょっと難しい。
小説ですが、さほど高尚なものではなく、いわゆるライトノベルってやつです。


ファンタジーものと言うと、先日取り上げたロードス島戦記みたいに、
中世ヨーロッパをモチーフとした、剣と魔法の世界が多いのですが、
このシリーズは中華風な世界観を元にしたファンタジー



ざっと話の内容を紹介すると
仙界に住む見習い仙人"和穂"が、ある事件によって、
師匠が封印していた727個の宝貝(パオペイ)を開放してしまいます。


宝貝ってのは、仙人が作り出した不思議な力を持った道具で、
 ドラえもんの秘密道具みたいなものですな。
 人の姿を取る刀や、何でも吸い込む瓢箪、時間を止める砂時計etc…色々登場します。



道具とは言え、多くの宝貝は自我を持っており、
そのまま封印されていることを良しとしない宝貝達は、仙人の手が届かない人間界へと逃れます。


727個の宝貝は、欠陥を持っていたが為に封印されていましたが、
役に立たない欠陥品だけではなく、使い方を誤ると非常に危険という理由で封印されていたものも。
そんな宝貝が人間界に存在してしまったら大変。
という訳で、責任を感じた和穂は全ての仙術を封じ、人間として人間界で宝貝を回収する旅に出る事に。


727個の宝貝の内、726個は人間界に逃亡しました。
しかし、"武器のくせに情に脆い"という欠陥を持つ刀の宝貝、殷雷刀(いんらいとう)は
その欠陥ゆえに、逃げ出さずに残ることを選びました。
諸事情により、殷雷刀は和穂の護衛として旅に同行することに。


そんな訳で、宝貝を悪用している人間から取り返したり、
宝貝が引き起こしている事件を解決したりする、二人の宝貝回収の旅が始まります。




宝貝の能力を駆使し、いかに不利な状況をひっくり返すか、という駆け引きが見所でしょうか。
(ジョジョに通じるものがあるかも)
あとは、悪ぶってるけど根はいいヤツという殷雷と、純真さの塊のような和穂の掛け合いとか。



ろくごまるに氏独特の、ユーモア感あふれる文体も大きな魅力です。
8巻目となる前作、「刃を砕く復讐者(上)」が出版されたのが5年ぐらい前。
まだ私が大学生やってた頃です。
しかし、上下編を謳っていながら、待てど暮らせど下巻が出ません。


病気や怪我など、何かのっぴきならない事情で執筆活動が滞っているのか?
まさか最悪、若くして亡くなられたのかも…などと不謹慎な心配をしておりました。
まあ何はともあれ、続きを読むことができて安心しましたが。



氏のあとがきも、作品を読む楽しみの一つなのですが、
前作から5年の歳月が過ぎている事にも触れられていました。
単純に、一作書くのに五年を要したとのことです。
本当だとしたら、スケールがでかい。でかすぎる…。